歯科ブログ

2017年02月25日

神は乗り越えられない試練を与えない

神は乗り越えられる試練しか与えない

っという台詞が、懐かしの医療ドラマを見ていたら連発されていたのですが。聖書の言葉だったのですね。
「神は真実な方ですから、あなたがたを耐える事の出来ないような試練に会わせるような事はなさいません。むしろ、耐える事が出来るように、試練と共に脱出の道も備えて下さいます」(コリントの信徒への手紙一10章13節)
 
こんにちは。色んな人に支えられながら、毎日試練に立ち向かっています、研修医の櫛田です。
研修一年目も終わりに近づき佳境に入ろうかという二月、私に今年度最大の試練が降りかかりました。
AMC混合病棟に入院しました。
 
<渡嘉敷島に行ってきました!>
心身の健康維持の為、ストレス解消はとても大切らしいです。私は旅行(特に島)に行く事と海を見る事が大好きなので、週末はよく旅に出ています。先週は渡嘉敷島に行ってきました。初めての渡嘉敷島! 本島よりも透明感の高い海!! 美しすぎる海!!……と、ルンルン(*^^*)で島旅を楽しんで帰ってきました。
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本当はクジラを観てみたかったのですが(慶良間諸島では1〜3月までクジラが見られる……らしい)、船が一杯だったので、シュノーケリングでウミガメを探してみることにしました。宝石箱の奥で、魚が沢山泳いでいました。「ここトカシクビーチでは8〜9割の御客さんがウミガメに会えますよ」と言われ、意気揚々と二月の海に潜ったのですが……。……「私は残りの1割か……( ´・ω・` )」。……ま、まぁ、そんなこともあるだろうと気を取り直し、絶景ドライブに出掛けました。ドライブコースでは桜も見られました。
本州の人間の感覚からすると、桜といえば四月頃、南の方から段々と桜前線が北上してくるのを待ち構えるものです。薄紅の花が雪を被せたように一斉に山を覆うと、春が来たなあと思い、桜吹雪に変わるまでお花見を楽しむのですが、此方ではそうではないようです。まず、桜が咲くのは1月から2月。沖縄は温かいから春を先取りしている……と思いきや、そういう訳ではないようで。寒空の下に色濃く鮮やかな花をつけ、吹雪かない。桜前線は、沖縄の北の端から南下するもの。つまり、どうやら此処沖縄では「桜イコール春の訪れ」は通用しないようです。
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<なぜ、沖縄では本州とは逆に桜前線が南下するのか?>
実は当真先生からの課題がでており、調べてきました! 以下宿題回答!
「春といへば 誰も吉野の花を思ふ心に 深きゆゑやあるらん」(西行法師)
日本人の多くは春というとすぐにソメイヨシノを思い浮かべますが、桜にはソメイヨシノだけではなく、ヤエザクラやシダレザクラなど様々な品種があります。沖縄の桜は寒緋桜(カンヒザクラ)といって、台湾や中国系の品種のようです。そもそも種類が違うから、桜と名がついても花の色や咲き方や散り方が違うのですね!
それでは本題、沖縄の桜はなぜ本州と逆転して、北から南へ、山(高地)から麓(低地)へ咲いていくのでしょう。
 
桜の開花メカニズム
1)桜は前の年に花芽をつけて休眠に入る
2)秋から冬にかけての低温にさらされることで休眠から目覚める(=休眠打破)
3)気温の上昇とともに花芽が生長して開花!

つまり、寒さと暖かさの両方があって、初めて春を知り、花を咲かせることができるのです。

本州などでは、各地とも十分な低温にさらされるため、純粋に気温の上昇とともに(南・ふもとから)開花します。対して、冬でも比較的暖かい沖縄の場合は、北・山にある桜の方が先に十分な寒さを経験するので、南・平地よりも早く花が咲くのです。
 
……と、いうことだそうです。
「花は桜木、人は武士」……はちょっと違いますが、暖かいだけの温室育ちでは咲かない、なんだか人生の試練みたいですね!
 
<島旅後日談・逆境到来>
竜宮城へ誘う亀には出会えませんでしたが、楽しい旅にすっかり満足して、「ようし今週も頑張るぞ!」と帰ってきた私でした。しかしどうやら何処かのタイミングで運悪くアレルギーの引金を引いてきたらしく、帰ってきてすぐに蕁麻疹まみれになり、翌日は元気に診療したつもりがアナフィラキシーショックに発展して、火曜日には診療どころではなくなりそのまま職場であるAMCに入院してしまいました。
私は軽いアレルギーすらも起こしたことがないレベルの超健康体だったので、物凄く吃驚しました。「このタイミングで、なんで私が!」「神様は自分のとこのスタッフにも残酷だなぁ」とも思いました。タービンも握れないぐらい手も腫れるし、顔も誰だかわからないレベルで腫れるし、ふらふらして立っていられず意識を失くす程だったので、怖かったです。
診る筈だった担当患者様のことや、迷惑を掛けてしまう歯科スタッフの皆様のことや、もう日数も僅かな研修のことで休養中も頭が一杯でしたが、お見舞いに来てくださった方々の言葉や混合病棟の看護師さん達の明るさと優しさでかなり励まされました。
 
私は大学受験の時にも一度、病気になり一月半ほど入院したことがありました。勉強が遅れてしまって、医術に必要な手も動かなくなってしまって入院当初は泣いてばかりいました。しかし、その時に出会った女医の先生方や研修医に心身共に癒され助けられ、今でも忘れられません。特に当時私は医学部を目指していたので、その研修医の先生に憧れてもいました。今は紆余曲折挫折色々あってこの通り、歯科の研修医になった私ですが、自分が研修医になる時にはその研修医の女医先生の背中を思い出しました。研修医でもあんな風になれたら最高だなぁと夢見ました。ですが歯科医師研修の一年を一年を通して、私があの日の研修医の先生のように誰かを癒せたかといえば答えはNOです。医科と歯科では違うし、理想と現実は違うし、そもそも私はまだ「将来は歯医者になりたいです」という子供に出会えたことがありません。歯科医師人生のスパイスと学びの起爆材のため絶賛募集中です。
今回入院した時に、久しぶりにその先生の事を思い出して、癒しについて考えました。自分も大人になった今、自分と彼女で大きく違うのは人間性とコミュニケーション力かなぁ……なんて思ってしまいます。今思うと、私と同じ研修一年目とは思えない落ち着きと包容力だったなぁ。お見舞いに来て励ましてくださった他の先生方の言葉や、親切に時々お母さんのように優しくしてくださった衛生士さん達や、明るく楽しく接してくださる混合病棟の看護師さん達にも、自分には無いものを沢山感じました。人を元気にする技は、私には無い本当に凄いものだと思います。まさに神技です。私も患者さんを元気にしたいものです。
主治医の許先生の言うことをよく聞いて、大人しく休んでいたら三日で無事退院できました。〝マジで死ぬかと思ったとんでもない災難〟……ではなく〝神様から与えられた試練〟を乗り越えて、自分が如何に日頃周囲の人に支えられ迷惑をかけながら生きているか思い出しました。若き日の自分が患者として癒された時の事を思い出しました。どんな研修医になりたかったのかも思い出しました。
 
桜の花は厳しい寒さという試練を経験しないと春の花を咲かせないらしいです。
神は乗り越えられない試練を与えないらしいです。
試練を乗り越え、私も早く成長しようと思います。
 
帰ってきてみたら、私は病棟でほんの数日休んだつもりが、歯科ではその間に凄い速さで時が流れていたようで、予約簿が大移動していました。頑張って急ぎ把握しました。……大変御迷惑おかけいたしました!
はっ、そうか。もしかすると実は私はあの日渡嘉敷島でウミガメに連れられて……、
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研修医 櫛田

 

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